成年後見制度とは?

判断能力が不十分な方々を、法律面や生活面で保護したり支援したりする制度です。

私たちは契約を前提とする社会に生きています。スーパーで肉や野菜、あるいはコンビニでお弁当を買うのも契約書を作ったり、印鑑を押したりはしませんが、契約です。
契約をするには、自分の行為の結果がどのようになるか判断できる能力が必要となります。判断能力が不十分な場合、そのことによって不利益を被ってしまうおそれがあります。
そうならないように支援するための制度が成年後見制度です。

制度を支える理念

「ノーマライゼーション・自己決定の尊重という理念と本人の保護の調和」が求められています。
そのため、単に財産を管理するに止まらず、本人の生活を支えること(身上配慮義務)が後見人の役割とされています。

1.ノーマライゼーション
高齢者や障害者であっても特別扱いをしないで、今までと同じような生活をさせようとする考え方

2.自己決定の尊重
本人の自己決定を尊重し、現有能力(残存能力)を活用しようという考え方

3.身上配慮義務
本人の状況を把握し配慮する義務

成年後見制度の種類

任意後見制度(詳細はこちら 法定後見制度(詳細はこちら
今は元気だが、将来、判断能力が不十分になった時に備えておくための制度
すでに、判断能力が不十分な人に代わって、法律行為をしたり、被害にあった契約を取消したりする制度
3つの利用パターン
①即効型
②移行型
③将来型
3つの利用パターン
①補助類型
②保佐類型
③後見類型

任意後見制度の詳細

今は元気。でも、将来が心配。
もしも、判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい。
そんなとき、支援してくれる人と将来の約束をし、支援内容を決め、 あらかじめ私(本人)と支援者の間で任意に契約を行う制度です。

加齢にともない、様々な点で能力が減退するのはやむを得ないことです。そうなっても今までのように自宅で生活をしたい、望んでいた施設に入りたい、病気になっても困らないようにしておきたい。そんなときに支援してくれる任意後見人を今から決めておきたいものです。

任意後見契約とは 任意代理契約とは
判断能力が不十分になった後に支援を開始させるための任意後見契約に関する法律に基づく契約です。

・契約時に当事者間で合意した特定の法律行為の代理権によって支援します。同意権・取消権による支援はありません。

判断能力のある今から支援を受けるための契約です。

・任意後見制度に基づく契約ではありません。通常の委任契約です。
・契約時に当事者間で合意した特定の法律行為の代理権によって支援します。同意権・取消権による支援はありません。

任意代理契約には、私(本人)に代わり支援する人(任意代理人)を監督してくれる人はいません。
契約を結ぶ私(本人)自身が、その仕事ぶりをチェックすることになります。
やがて判断能力が減退しチェックが難しくなったとき、約束どおり家庭裁判所に任意後見監督人選任申立ての手続きをしないとしたら・・・監督機能を持たないので利用するときは慎重な対応が必要です。

○見守り契約とは
具体的な支援はしませんが、ときどき連絡をとり、あなたを見守りながら信頼関係を継続させるための契約です。適切な時期に任意後見監督人選任申立ての手続きをするタイミングを計ります。

法定後見制度の詳細

私の母(本人)が認知症になった。判断能力が不十分なために財産管理や、法律行為をすることが困難になっている。支援者が欲しい。

判断能力が減退している高齢者宅にも、悪質業者を含めて様々なセールスマンはやってきます。巧みなセールストークに根負けしたり、だまされたりして不本意にも契約をしてしまうこともあります。また、ヘルパーさんを手配したり、入院したりすることもあるでしょう。
こんなとき、その人のために、取消ができたり(同意権・取消権)、その人に代わって入院契約をしたり(代理権)する人が必要になります。
でも、すでに判断能力が不十分になっているので、任意後見契約のように契約によって依頼できません。
そこで、法律がそのような役割を担う人を決める仕組み、これが法定後見制度です。法律によって、支援者を定めることから、法定代理人という位置づけになります。 この法定後見制度利用の要件である判断能力の有無や程度については家庭裁判所が判断します。

○かかわり方